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 1970年9月6日付本紙は、閉幕間近の大阪万博の1日入場者が万博史上最多を記録したと報じている。隣には「なぜ奄美ばかり 相次ぐ台風」の見出しがあった。

 その時期、奄美地方は3週間で四つの台風に見舞われ、記事は「台風銀座どころか台風万博」と記す。「万博」とは当時ならではの表現だが、「台風銀座」は鹿児島県が常襲地帯であることを表す言葉としてよく使われた。

 特に昭和20~30年代は来襲が相次ぎ、戦後の経済復興の足かせになった。元鹿児島地方気象台長の倉嶋厚さんは後に個数、速度などを基に検証を試み、鹿児島は沖縄と並ぶ台風銀座だと結論づけた。

 近年あまり使われなくなったのは台風のコースが変わったからか、住宅や社会インフラが改良されて被害が減ったからか。東北など全国各地が暴風雨に襲われ、もはや銀座と呼ぶほど特異な土地ではないだろう。

 鹿児島を狙い打ちしたかのような進路予想図に、久々にこの言葉を思い出した。気象庁が最大級の警戒を呼び掛ける台風10号はあす以降、奄美地方や県本土に接近または上陸する恐れがある。

 最大風速50メートル超の暴風が吹き荒れ、経験したことのないような大雨や高波、高潮によって土砂崩れや浸水、建物の破損などさまざまな被害が心配される。避難所など安全な場所に身を寄せて、通り過ぎるのを待つしかない。最新情報には常に注意を。