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 「首相を選ぶ権利を国会議員から国民に手渡す。これは政治の構造改革、政界の規制緩和だ」。2001年4月、小泉純一郎首相は就任直後の記者会見で、そう言って首相公選制をぶち上げた。

 2カ月後に発足した懇談会は翌年、国民が直接投票する「大統領型」など3案を提言した。当時の世論調査では8割近くが公選制導入を支持した。日本のリーダーが政党の派閥の密室談合で決まることに不満が高まっていたからだ。

 安倍晋三首相の事実上の後任選びも何ら変わっていない。きのう告示された自民党総裁選は、主要派閥が早々に支持を打ち出した菅義偉官房長官が、政策を競う前から本命視されている。

 党員・党友投票は準備に時間がかかるからと見送られた。地方の声が届くのかという懸念はどこ吹く風。新型コロナ対策のため全国遊説も行われない。7年9カ月ぶりのトップ交代に熱気は感じられない。

 「政治の構造改革」は憲法改正が必要で、ポピュリズム(大衆迎合主義)を招きかねないといった問題点も指摘された。結局たなざらしのまま、最近は話題にも上らない。国民は選挙で意思を示すほかない。

 新総裁の任期は残り約1年で、解散風がいつ吹き始めてもおかしくないだろう。あすは立憲民主、国民民主両党などによる合流新党の代表も決まる。日本の針路を占う政界の動きを冷めて見ているわけにはいかない。