( 9/10 付 )

 災害時の避難所に詰める自治体職員は気苦労が多いらしい。「暑い」と声が上がった同じ部屋で「寒い」と訴える人がいる。「暗い」と怖がる人がいれば「明るくて眠れない」と怒る人もいる。

 だが、先日の台風10号で知人が担当した避難所は様子が違ったという。お湯を沸かせば口々にお礼を言ってくれた。持ち寄った料理を分け合って食べ、職員にもお裾分けしてくれた。翌朝は隅々まで掃除して帰って行った。

 度重なる災害を経験し、避難所の快適性を重視する自治体が増えつつある。今回も鹿児島県内各地で段ボールベッドを用意したり、家族ごとに仕切りを設けたりといった工夫が見られた。

 不安を抱えて集まる場所だからこそ、疲労が蓄積しないよう、あらゆる手だてを講じるのは国や自治体の責務だろう。障害のある人の受け入れ態勢の充実や避難が長期化した際のトイレや食事、風呂の手配などまだまだ課題は多い。

 避難者の感想や要望をしっかり聞き取り、いつ来るか分からない次の災害に備えてほしい。一方で身を寄せる側も、自身の心の持ち方ひとつで居心地が良くなることを覚えておきたい。

 知人が担当した避難所は、1人暮らしの高齢者が多かったそうだ。勢いを増す雨風の音は恐ろしかっただろう。硬い床に雑魚寝はさぞつらかったろう。それでも明るく、穏やかに過ごした人生の先輩から学ぶことは多い。