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 自らB級グルメとうたう料理店には「安い割にそこそこうまいぞ」という自負がのぞく。ならば「超C級」のホラー映画には、どんな思いが込められているのか。

 千葉県銚子市の銚子電気鉄道が制作した「電車を止めるな!」は、イベントで企画した「心霊列車」に本物の悪霊が現れて大騒ぎになるという筋立てである。先月末から首都圏のライブハウスなどで上映されている。

 映画作りは、老朽化した変電所の修繕資金集めが狙いだった。昨年秋の台風被害とコロナ禍の乗客減にも見舞われ、手元の運転資金にも事欠くほどに。まさに電車が止まりかねない事態を打開しようと知恵を絞った。

 制作費はクラウドファンディングで募った。超C級と銘打ったのは銚子の駄じゃれ。タイトルは低予算ながらヒットした映画「カメラを止めるな!」にあやかった。上映会場にはそうした事情をよく知る“銚電ファン”が多かったようだ。

 銚子電鉄は関東平野最東端の犬吠埼(いぬぼうさき)を通る6.4キロのミニ私鉄。幾度も経営危機に陥り、特産のしょうゆに漬けたぬれ煎餅をはじめ、オリジナル食品の販売でしのいできた。「もはや食品メーカー」と公言する姿は何ともたくましい。

 赤字ローカル線の奮闘は各地で耳にする。映画からは、鉄路を残すにはなりふり構っていられないという気概がのぞいた。話題を呼び、窮状を広く訴える効果はA級だろう。