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 反抗期の娘と母親を描いた映画「今日も嫌がらせ弁当」は、笑って泣けるストーリーとともに数々のキャラ弁に目を見張る。のりやチーズなどで似顔絵や文字を巧みにかたどる。

 実在のシングルマザーのブログが基になっている。親を無視するようになった娘に高校卒業までの3年間、思いを伝える手紙代わりに作り続けた。仕事を掛け持ちし、体調を崩してもなお台所に立った。

 新型コロナウイルスがこうした親子の絆に水を差す。東京のNPO法人が7月にシングルマザー約1800人から回答を得た調査によると、感染拡大の影響で2割弱が家庭での食事の回数を減らしていた。

 勤務先の休廃業や労働時間の短縮で、もともと少ない収入がさらに低くなったためだ。「子どもたちは2食で我慢。私は1食が当たり前」との声もあった。苦境にあっても子どもの健康を一番に考える親心なのだろう。胸が痛む。

 無償や低価格で食事を提供する鹿児島市内の子ども食堂が連携し、市の協力を得てスーパーなどで300円相当の弁当と交換できる無料チケットを作った。これまでに3000枚を配り、感謝の言葉が続々と寄せられているという。コロナ下の支援活動は心強い。

 冒頭の映画は、最後に分かり合えた母子の笑顔が印象深い。自助だけを押し付けず、共助、公助の手も差し伸べたい。心から笑い合える親子が一組でも増えるために。