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 鹿屋市の国道沿いに、ひときわ目を引く白い外観の結婚式場「ティヌカーラ鹿屋」がある。チャペルや吹き抜けの披露宴会場を備え、新築のように手入れが行き届いている。

 従来、大隅半島で披露宴を開くなら地元ホテル、あるいは都城市や鹿児島市まで行くのが主だった。需要を見込んで13年前にオープンし、以来、年間70組ほどが利用してきた。

 ところがコロナ禍に見舞われる。キャンセルが相次ぎ、4月以降の披露宴は1組だけで出席者はわずか11人だった。とうとう12月末の閉館を決めた。苦渋の決断は察するに余りある。

 鹿屋市の運営会社会長、上村伸一さんは「外食や旅行なら、例えば『来週みんなで出掛けようか』と言えるだろう。だが披露宴はそうはいかない」。出席者の名簿作りから衣装合わせ、料理選びなど何カ月も前から打ち合わせを繰り返す。日取りを引き延ばすにも限度がある。

 今までは「披露宴くらいはしたらどうか」だったが、「披露宴なんてするのか」に変わってしまった。上村さんは「結婚を大勢が祝福する文化すら消えるのか」と心配している。コロナの影響を最も受けた業界の一つかもしれない。

 何より披露宴を開けないカップルこそ気の毒である。秋の婚礼シーズンを迎える。望む男女がいたら、みんなでコロナ時代にふさわしいスタイルを考えてみたらどうか。思い出深い祝宴になるはずだ。