( 10/5 付 )

 秋風に吹かれ、中秋の名月の下を走った。すっきりした良夜ではなかったが、「たなびく雲の絶え間からもれる月影のさやけさがいい」と詠んだ平安歌人に倣って楽しんだ。

 ここ半年、退勤後のランニングを規則正しく続けている。新型コロナウイルスの影響で飲み会の予定が入らなくなったからだ。春は川沿いの桜並木の道、夏は日中の暑さの名残を感じつつ路地と、自分なりのコースを決めている。

 今月は各地の“仲間”と走り始めた。東京のスポーツ関連財団が主催する「オクトーバー・ラン」というイベントに誘われた。場所や時間は問わず、それぞれが好きなペースでこつこつ走り、1カ月間の累計距離を競う。

 スマートフォンのアプリを使い、距離は自動で積み上がる。刻々とランキングが更新され、少しでも順位を上げたいという気持ちになる。9月末時点の申し込みはウオーキングの部も含めて6万人を超えたらしい。

 スポーツ振興に力を入れる全国130余りの自治体によるタウン対抗戦も繰り広げられ、鹿児島からは鹿屋、志布志、出水の3市が参加している。エントリーした住民が走ったり歩いたりした距離の平均で勝負する。

 オンラインを活用した試みは、新しい運動様式になりつつある。一堂に集まるレースには尻込みしていた人も、これなら気軽だろう。あちこちの路地にキンモクセイが香る季節になった。