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 以前より転職しやすい社会になったとはいえ、今でも同じ会社に20年勤める人は珍しくない。でもプロスポーツの世界では極めて異例の長さと言える。チームから必要とされ続けた超一流の証しである。

 サッカーの遠藤保仁選手が在籍20年目のJ1ガンバ大阪からJ2磐田に移籍した。今季が終わる来年1月までの期限付きだが、40歳で古巣を離れるのは勇気の要る決断だったに違いない。

 鹿児島実業高校から入団した横浜フリューゲルスは1年で消滅し、京都を経てG大阪に。巧みなボールさばきで司令塔を担い、得点に絡むセットプレーも数知れない。大きなけがをせずチームを引っ張り続けたからこそ、日本代表でも長く活躍できたのだろう。

 7月にJ1出場が632試合に達し、最多記録を塗り替えたばかりだった。その後、若返りを図るチームの方針もあって出番が減っていた。試合に出たい-。移籍の狙いはその一点に尽きる。

 レジェンドとも呼ばれるベテランはJ1昇格を目指す新天地でどんなプレーを目指すのか。「ゼロからのチャレンジにわくわくしている」。過去の実績にとらわれず、若手と競う決意がにじむ。“新生ヤット”の挑戦が楽しみだ。

 鹿児島のサッカーファンとして鴨池のピッチに立つ姿を見てみたいというのは欲張りか。J3鹿児島ユナイテッドが昇格を果たし、いつの日か夢がかなうのを信じよう。