( 10/13 付 )

 登山道の入り口には、城の復元図や、ここに宿泊したとされるフランシスコ・ザビエルの像が立つ。日置市役所東市来支所の目の前にある市来鶴丸城跡を訪れた。13世紀に築城された山城である。

 本丸跡まで350メートル。軽いウオーキングのつもりで登り始めたが甘かった。台風の爪痕だろう。倒れた木や竹が道をふさぐ。息を切らしてたどり着いた。周囲に曲輪(くるわ)(区画)が点在し、守りを固めていた往時がうかがえた。

 県内には山城が800カ所あるそうだ。県都の中心部にある鹿児島城(鶴丸城)も築城当初は、背後の城山にあった山城を本丸にしていた。黎明館が立つ場所を城跡と思いがちだが、現在の名山堀なども含め東西約1キロ、南北約1.4キロに広がっていたという。

 その成り立ちをひもとく特別展「鹿児島の城館」が黎明館で開かれている。山城と居館を一体に描いた「鹿児島城絵図」からは、壮大なスケール感が伝わってくる。自然を生かした造りは現代的でもある。

 「鹿児島城にはなぜ天守がないのか」。主任学芸専門員の上村俊洋さんは、来館者からこう尋ねられることが多いという。「天守のない屋形づくりの背景に思いを巡らせてほしい」。

 会場を出ると、復元された御楼門の先に雄大な桜島が浮かんでいた。天守を持たない城にあって、その華やかさは当時の人の目にどう映ったのだろう。そんなことも考えた。