( 10/21 付 )

 プーさんにせよテディベアにせよ、童話やアニメのクマは愛すべき存在だが、現実はそうのどかではない。北陸などで人が相次いで襲われ、犠牲者も出ている。石川県では商業施設に紛れ込み、臨時休業する騒ぎになった。

 同県内では出没が続き、「警戒情報」発令中だった。開店前とはいえ、多くの人や車が出入りする場所に現れたとは驚きだ。半日後に射殺されたのは気の毒な気もするが、けが人が出ずに何よりだった。

 クマは冬眠前に餌を探そうと活発に動く。今年は各地でブナの実が不作で、食料を求めて市街地に出没しているのかもしれない。最近は人里近くで活動し、人間を怖がらない「新世代クマ」も出てきたというから厄介である。

 九州では1957年を最後に野生のクマの捕獲記録がなく、環境省は絶滅したとみている。ただ、目撃したという情報はしばしば飛び交う。どこかで生き残っていると考えるのは空想がすぎようか。

 もっとも、イノシシなど野生生物の出没は後を絶たない。鹿児島県で昨年度5億3000万円の農作物被害があり、年々深刻になっている。さらに、住宅地で目撃情報が相次ぐのも気になる。

 もしも出合ったら、慌てず、そっと離れるのがクマにもイノシシにも得策らしい。相手を興奮させない。そして、餌となる生ごみなどを適切に管理することも大切だ。傷つけ合わずに済む距離を保ちたい。