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 鹿屋市西部の幹線道路沿いに農産物直売所「かやの郷(さと)」がある。野菜や鮮魚、精肉、生花がふんだんに並び、中でも370円の日替わり弁当は人気商品だ。

 地元の社会福祉法人敬心会が、障害者の自立支援を目指して運営する。1坪ほどの小屋で創業し、次第に店を広げて11年目を迎えた今、売り場面積は400平方メートルを超す。700の取引先からは加工品などが持ち込まれ、まさに大隅の“味のデパート”である。

 理事長の郷原建樹さんは「民間版の道の駅です。コロナ禍で時代が変わりつつある中、農業と福祉の農福連携を深め、地域の交流の場を目指したい」。79歳でなお直売所に立つ姿を見れば、こちらも元気が出る。

 福祉の現場は少なくとも40年以上前から農福連携に取り組んできた。県内では南大隅町の社会福祉法人白鳩会が先進例となり、全国から視察が相次いでいる。農業を通じて自立を後押しする団体が広がっているのは心強い。

 郷原さんは農業が人々にエネルギーを与えると確信する。かやの郷の近くにある広大な農園では、障害者が生き生きと土にまみれながら作業をする姿があった。表情が豊かになった人もいると聞いた。農業が秘めた力だろうか。

 かやの郷は14、15の両日、創業祭を開き、各地の就労支援施設や農家が自慢の品を販売する。農福連携の4文字が、これからの地域づくりの鍵になるに違いない。