
( 11/12 付 )
作家・重松清さんの短編集「青い鳥」に、村内先生という中学の非常勤講師が出てくる。カ行とタ行の音が言葉の最初にあると、声が出なくなる。顔を真っ赤にして懸命に話すが、喉が詰まったようになってうまくいかない。
ただ、子どもの苦しみを察知する感度は人一倍鋭い。いじめの加害者になってしまった子、父親が自殺してしまった子らの独りぼっちの苦悩を理解する。そっと身を添わせ、勇気を振り絞って次の一歩を踏み出すまで見守る。
米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏も子どもの頃、吃音(きつおん)に悩んだそうだ。緊張すればするほど言葉がつっかえる。からかわれ、まねされ、随分苦しんだ。
一念発起したのは高校時代である。夜、鏡の前で詩を朗読する自主特訓を重ねた。やがて多くの人にメッセージを発する政治家になり、国の最高権力者にまで上り詰めるのだから、努力の人なのだろう。
吃音は人口の1%程度が発症すると推定されている。症状名は付かずとも、テンポよく話すのが苦手な人もいる。伝えたいのに伝えられない心の重荷を背負って生きる人は決して少なくない。
バイデン氏には父親の失業、交通事故による前妻や子との死別など、つらい過去がある。悔しさや深い悲しみの涙の味を知る人なのかもしれない。超大国の新リーダーの誕生が、孤独に沈む世界中の人たちの次の一歩につながればいい。
- 学問の神様、菅原道真を祭る多くの神社には、道真の使いとされる座った牛の... (1/15 付)
- 「日本のいちばん長い日」といえば、太平洋戦争終結の日の内幕を描いた映画... (1/14 付)
- 延岡市の海で小学生が真新しいサッカーボールをなくした。その悲しみは2カ... (1/13 付)
- 三陸地方に「津波てんでんこ」という言葉がある。津波が来たら、てんでばら... (1/12 付)
- 大人になるとは、どういうことなのか。明治政府が公布した徴兵令は、20歳... (1/11 付)
- あたろうかあたろうよ-。市街地が今ほど立て込んでいなかった昔、童謡「た... (1/10 付)
- 両翼を大きく広げ、空を舞う鳳凰(ほうおう)の姿が美しい。力強いタッチで... (1/9 付)
- 江戸時代のお家騒動を題材とした歌舞伎「毛抜(けぬき)」の大詰め、主人公... (1/8 付)
- カーブの手前で手を放すとハンドルがひとりでに動いて曲がっていく。俳優の... (1/7 付)
- 中国への返還を3年後に控えた1994年、香港映画のイメージを変えたとい... (1/6 付)
- 観客のいないホールに盛大な拍手が鳴り響いた。元日にテレビ中継されたウィ... (1/5 付)
- 奥州藤原氏初代の清衡(きよひら)が、宴席で食べた貝の殻を捨てようとして... (1/4 付)
- 鹿児島弁には「若(わこ)おないやしつろ(若くなられたでしょう)」という... (1/3 付)
- 頬を刺す風の冷たさも、この日ばかりは身も心もすすがれるようで心地いい。... (1/1 付)
- 鹿児島市出身の京セラ創業者、稲盛和夫さんから興味深い話を聞いたことがあ... (12/31 付)
- 「水かさのへった冬の川はひとしお澄みきって、冷たい音をたてて流れた」。... (12/30 付)
- 「中国武漢で謎の肺炎」。正月が明けて間もない1月7日付本紙に、武漢市で... (12/29 付)
- 新鮮なブリを頂いた。「嫁ブリのお裾分け」と添え書きがある。福岡など北部... (12/28 付)
- 鹿児島市との境に近い薩摩川内市入来の岩下川流域は、大小10カ所以上の滝... (12/27 付)
- 最近、ふと気づくと口ずさんでいる。「あれは三年前 止めるアナタ駅に残し... (12/26 付)
- 新型コロナに振り回されっ放しの年だが、感染が広がる前、日本にとって歴史... (12/25 付)
- 渡世人の忠太郎は、五つの時に生き別れになった母おはまを捜し続けている。... (12/24 付)
- 丑(うし)年の年賀状の図案に悩む父親に、小学生の息子が自作の瓶入り牛乳... (12/23 付)
- 流線形のボディーに大きな窓の路面電車をよく見かけるようになった。鹿児島... (12/22 付)
- 「山におしまくられた人びとがかろうじて渚に踏みとどまり、フジツボのよう... (12/21 付)
- サッカーJ3の鹿児島ユナイテッドFCはきょう、鹿児島市の白波スタジアム... (12/20 付)
- 今年は近代看護の礎を築いた英国の看護師ナイチンゲール生誕から200年に... (12/19 付)
- 「して見せて、言って聞かせて、させてみる」。江戸中期の米沢藩主で名君と... (12/18 付)
- 2年ほど前から自宅の庭先に猫が現れるようになった。声を掛けているうちに... (12/17 付)
- 小松政夫さんの訃報を聞いて、ハチャメチャなギャグとともに懐かしく思い出... (12/16 付)
- 今では名曲として知られているクラシックの作品も初演の評価はさまざまだっ... (12/15 付)
- 静かな展示室でシャッター音だけが響く。カメラを構えるのは、ほとんどが“... (12/13 付)
- その花の名を知ったのはご多分に漏れず、昭和の大ヒット曲「シクラメンのか... (12/12 付)
- <ふるさとの訛(なまり)なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく... (12/11 付)
- 若者が古里の将来に関心を寄せる姿は頼もしい。防衛省が西之表市で開いた住... (12/10 付)
- 日本三景や三大行事、三羽がらすなど、ものごとを三でまとめると据わりがい... (12/9 付)
- 「早く戦争が終わって、おいしいコーヒーが入れたい。それだけが僕の望み」... (12/8 付)
- 奄美群島ではミーニシと呼ばれる北風が吹き始める10月下旬ごろからサトウ... (12/7 付)
- 「人と人、人と本つなぐ図書館へ」と題した学校図書館司書の投稿が、本紙ひ... (12/6 付)
- 絵の具の匂いが残る放課後の美術室で、進路や家庭の悩みをよく聞いてもらっ... (12/5 付)
- 「土石流で用水路が埋まった」。8月、福岡市の非政府組織「ペシャワール会... (12/4 付)
- ハノイに赴任した知人が、現地のフォーの店を気に入ったそうだ。ベトナムの... (12/3 付)
- 伊佐市の羽月西小学校の渡り廊下には、毎年冬になると干し柿が並んだ。東日... (12/2 付)
- 新型コロナウイルスの恐怖が世界中を覆い始めたころ、女性リーダーの発信力... (12/1 付)
- 「現今のように県外への労働移出は多く、いままでに出た者も容易に帰らぬ状... (11/30 付)
- 幕末の薩摩藩英国留学生は航海の途上、外国のさまざまな文化と出合った。そ... (11/29 付)
- <わが行けばうしろ閉ぢゆく薄原>。ススキ野原を一人歩く女性。白い穂を払... (11/28 付)
- 針供養など、愛用の道具に魂が宿るかのように敬意を払う習慣は日本人独特の... (11/27 付)
- 出水地区に戦国時代から伝わる弓道の「薩摩日置(へき)流」に鳴弦(めいげ... (11/26 付)
- 「関心がないといって寝てしまってくれれば、それでいいんですけれど」。2... (11/25 付)
- 「シュワちゃん」の傑作を見た。といっても、あのハリウッド俳優のアーノル... (11/24 付)
- 奄美市の奄美博物館長を務め、4年前に亡くなった中山清美さんは「島全体を... (11/23 付)
- 早朝、ランドセル姿の小学生を見かけて「こんな時間から学校に行くのか」と... (11/22 付)
- まるで人気アニメから飛び出してきたかのような姿だった。米国の新型宇宙船... (11/21 付)
- 草木にのみ込まれそうな廃屋から煙突が突き出ている。奄美市の国立ハンセン... (11/20 付)
- 新型コロナウイルス対策で夜間の移動が原則禁止されているイタリアで、5歳... (11/19 付)
- 「真剣だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳ばかり... (11/18 付)
- マスクを着けたまま、アクリル板越しに話をする機会が増えた。厚さは数ミリ... (11/17 付)
- 立冬を過ぎ、庭先菜園の大根葉が勢いづいている。青菜を摘んで、塩漬けした... (11/16 付)
- 「この世に摩擦がなかったらどうなるか。記述せよ」。2002年のノーベル... (11/15 付)
- 福岡県久山町(ひさやままち)は福岡市の隣にある人口約9000人の小さな... (11/14 付)
- 東京の落語家は見習いに始まり、前座、二つ目、真打ちの階級がある。二つ目... (11/13 付)
- 作家・重松清さんの短編集「青い鳥」に、村内先生という中学の非常勤講師が... (11/12 付)
- 世界のトイレ環境整備を目指すWTOという国際NPOがある。正式名は世界... (11/11 付)
- 米国の夜空に歓声が響き渡った。黒いマスクを着けたバイデン前副大統領が小... (11/10 付)
- 鹿屋市西部の幹線道路沿いに農産物直売所「かやの郷(さと)」がある。野菜... (11/8 付)
- 木枯らしが吹く季節の訪れとともに、福岡の商店街はにわかに活気づく。みず... (11/7 付)
- 「復興はまだまだ道半ば。光もあれば影もあります」。福島県双葉町にできた... (11/6 付)
- ふわふわ飛んでいたかと思うと、はじかれたように急上昇して秋晴れの空に消... (11/5 付)
- 「今度こそ死ぬかもしれない。何度もそう思った」。宮城県の南三陸消防署な... (11/4 付)
- 漫画「鬼滅の刃」の劇場版映画の興行収入が公開からわずか10日間で100... (11/3 付)
- ロックバンド「くるり」のメンバーは京都出身だが、鹿児島おはら節をカバー... (11/2 付)
- アルファベット順で各国が登壇し、Uのウルグアイは最後だった。2012年... (11/1 付)
- 小津安二郎さんは小津組、黒沢明さんだと黒沢組。映画監督が作品を撮る度に... (10/31 付)
- 「焼け残った細切れな記録に、生き残った人々のおぼろげな記憶を混ぜこんで... (10/30 付)
- 「君たちとはしょせん同じ地平に立てない」。25年ほど前に那覇市であった... (10/29 付)
- 「自転車でサクイチやってみる?」と尋ねる父に、「うん」と快諾した小学2... (10/28 付)
- 「学校に来たくないのなら来なくてもいい」。元文部科学省官僚の寺脇研さん... (10/27 付)
- バトルとは戦闘や争いのこと。物騒な言葉だが、スポーツやゲームで用いると... (10/26 付)
- 錦江湾高校、霧島錦江湾国立公園、錦江湾サマーナイト花火と、鹿児島湾は別... (10/25 付)
- タレントの毒蝮(どくまむし)三太夫さんが50年以上続けるラジオ番組があ... (10/24 付)
- あの熱狂からたった1年というのに遠い昔のことのように思える。ラグビーワ... (10/23 付)
- 鬼退治といえば、まず思い浮かぶのは腰にきび団子を下げた桃太郎だろう。だ... (10/22 付)
- プーさんにせよテディベアにせよ、童話やアニメのクマは愛すべき存在だが、... (10/21 付)
- 「朝ご飯は食べましたか」と聞かれて、パンを食べたのに「ご飯(米)は食べ... (10/20 付)
- ドラマでも活躍する落語家の立川談春(だんしゅん)さんが修業時代、1年半... (10/19 付)
- 人形浄瑠璃というと大阪に国立劇場がある文楽が有名だが、それ以前の形をと... (10/18 付)