( 11/13 付 )

 東京の落語家は見習いに始まり、前座、二つ目、真打ちの階級がある。二つ目までは寄席に出る順番と推測できるが、トリを任せられる真打ちとは何だろう。

 由来の一つを落語芸術協会のホームページが紹介している。いわく、昔の寄席で最後の演者が照明のろうそくの芯を打つ(火を消す)ことを指し、この字を当てたらしい。客を上機嫌で帰らせなければならないから、相当な技量が求められる。

 5月に真打ちになったばかりの瀧川鯉八(たきがわこいはち)さんは鹿屋市出身の39歳。都内で開かれている新真打ち3人の披露興行でトリを務めた。コロナ禍でしばらくお預けを食っただけに「最後に出るのはいいよなあ。元気でてくる」とツイッターで喜びをかみしめる。重圧を楽しめるのが何とも頼もしい。

 高座に上がると、顔の横に手を添え「チャオ」。大柄な体に不似合いなあいさつで客の反応をうかがい、独特の甲高い声と絶妙の間で“鯉八ワールド”に引き込む。

 新作落語を得意とし、ほめられるのが大好きな男が登場する「俺ほめ」は本人を連想させる代表作だ。二つ目時代に講談師の神田伯山さんらと組んだグループで公演を重ね、芸を磨いた。円熟の域へ上り詰める道に迷いはなさそうだ。

 本紙のインタビューで鹿児島弁を取り入れたネタ作りに「いつか挑戦したい」と明かしている。新ネタを引っ提げたふるさとでの公演が待ち遠しい。