( 11/25 付 )

 「関心がないといって寝てしまってくれれば、それでいいんですけれど」。20年前、衆院選の応援演説で当時の森喜朗首相が言い放った。直後に釈明したが、低投票率を期待するかのような発言は物議を醸した。

 この選挙で森政権は野党の躍進を許した。無党派層に棄権を促したのでは民主主義の否定だ。危機感を覚え、目を覚ました人が少なからずいたようだ。

 さて鹿児島市の有権者はどう動くのだろう。新人4人が立候補した市長選は29日の投票日に向け、戦いは熱を帯びるが、市民の熱気は今一つ伝わってこない。前回過去最低の25%にとどまった投票率はどうなるか気になる。

 支持者と握手を交わせない、3密を生む集会を開けない…。コロナ禍で選挙運動が大幅に制限される中、各陣営は関心をいかに高めるか頭を悩ませる。今年は全国の市長選で投票率が過去最低を記録したケースが相次ぐ。さらに低下しないか心配だ。

 ただ、選択肢が多いのはいい。候補者4人は歴代最多に並ぶ。人となりを伝える漫画をホームページに載せたり、子供が覚えて口ずさむユーモラスなテーマソングを流したり。経歴や年齢、政策に加え、浸透を図る手法まで多様だ。

 棄権という白紙委任では政治をチェックできず、暴走を招きかねないことを覚えておきたい。民主主義の土台となる選挙の主役は選ぶ側だ。もう、寝たままではいられない。