
( 12/4 付 )
「土石流で用水路が埋まった」。8月、福岡市の非政府組織「ペシャワール会」に緊急連絡が入った。アフガニスタン東部で局地的な豪雨があり、被災したという。
すぐ現地の実働組織に土砂のかき出しを指示し、約1週間後には生育期の農作物に送水できた。用水路は同会の現地代表だった故中村哲さんらが手掛けた。大黒柱を失っても「100の診療所より1本の用水路を」の志はしっかり受け継がれているようだ。
中村さんが凶弾に倒れてきょうで1年になる。作業に向かう途中、武装集団に襲われ運転手ら5人と共に命を落とした。首謀者や実行犯は捕まっておらず、動機は分からないままだ。
医師としてパキスタンで医療支援を始め、アフガンが干ばつに見舞われると用水路建設に乗り出した。農業支援による平和の実現という信念の下で、自ら重機を操り砂漠に緑を取り戻した。
現地の人々に「カカ・ムラド」と呼ばれた。「情熱おじさん」を意味する言葉には、遠来の友人への深い尊敬の念も込められていたに違いない。ペシャワール会やアフガン人職員の喪失感が癒えるにはまだ時間が必要だろう。
現地の治安はなお不安定だ。かつて中村さんは深刻な干ばつが広く知られないことを著書で憂えた。「その無関心自体に私たちの世界の病弊があるような気がしてなりません」。いつまでも胸に刻んでおきたい言葉である。
- 奄美のスモモの木は白くかれんな花を付ける。いくつもの枝に密集して咲き、... (3/1 付)
- ランドセルや文房具が並んだショッピングセンターの学用品売り場で、今年も... (2/28 付)
- 「梅にウグイス」は万葉集にも出てくる言葉だ。共に初春を指す季語であり、... (2/27 付)
- 季節外れの陽気に誘われて先日、東京・上野公園を歩いた。桜のつぼみはまだ... (2/26 付)
- 疱瘡(ほうそう)とは天然痘のことで、予防接種が普及するまでは最も恐ろし... (2/25 付)
- わが家の庭の水仙が次々と花を咲かせている。真っすぐに伸びた茎の先に白い... (2/24 付)
- 今から30年前の大相撲夏場所で、世代交代を印象づける一番があった。35... (2/23 付)
- 「まだ誰も、その男の全てを知らない」。いちき串木野市の薩摩藩英国留学生... (2/21 付)
- 「一つ褒められ、二つ憎まれ、三つ惚(ほ)れられ、四つ風邪をひく」。くし... (2/20 付)
- 「道徳と経済とは、共に両立して進むべきものでございます」。先日、日本資... (2/19 付)
- これはまた絶好の応援席があったものだ。きのうゴールした県下一周駅伝。お... (2/18 付)
- しばらく前、鹿児島市の旅行代理店で「最終号」と書かれた全日空の時刻表が... (2/17 付)
- 相馬、石巻、浪江-。聞き覚えのある東北の地名をテレビの速報が繰り返す。... (2/16 付)
- 「ほんとにこの島が気に入ったわ。ねぇ、どこかに別荘建てられないかしら」... (2/15 付)
- 出演者と客席との掛け合いはライブコンサートの魅力の一つだろう。公演で全... (2/14 付)
- 福岡市のビル街にある大濠公園には、市民に人気のランニングコースがある。... (2/13 付)
- 「鉄網珊瑚(てつもうさんご)」という言葉がある。鉄の網を海に沈め、着生... (2/12 付)
- 東京五輪・パラリンピック組織委員会トップの女性蔑視発言への批判が収まら... (2/11 付)
- 仲間と声を掛け合い、将来の夢を実現するためだと苦難を乗り越えた-。航海... (2/10 付)
- 忘れっぽく、気力に欠け、万事に無感動気味の、だらりぶら下がった、舌と胃... (2/9 付)
- 寡黙な女将(おかみ)が、1人で切り盛りするうどん屋「やお八」が福岡市西... (2/8 付)
- 中・高校の定期テストが終わると、レコード店に行くのが楽しみだった。限ら... (2/7 付)
- 社会は徐々にしか変わらない-。スコットランドが舞台のミステリー小説「黒... (2/6 付)
- 新型コロナ患者の命を守ろうと最前線で奮闘する医師。片や、緊急事態宣言下... (2/5 付)
- 日本人は昔、散歩の習慣がなかった。目的のない「ぶらぶら歩きなどは、はし... (2/4 付)
- このところ誹謗(ひぼう)中傷やデマ拡散など負の側面が目立つ会員制交流サ... (2/3 付)
- <保母さんの鬼にやさしく豆を打つ 長浜軍蔵>。かつて南日俳壇にこんな一... (2/2 付)
- 「裸の大将」の愛称で知られる放浪の画家・山下清は九州、特に鹿児島がお気... (2/1 付)
- 流れ星に願い事を唱えればかなう、という。由来は諸説あるが、ヨーロッパの... (1/31 付)
- ちょうど60年前、当時の名瀬市であった民謡大会で27歳の青年が島唄を披... (1/30 付)
- 1872(明治5)年、日本で初めての鉄道が東京・新橋-横浜間に通った。... (1/29 付)
- 洗濯機や冷蔵庫などを「白物家電」と呼ぶのは、普及し始めたころに白く塗装... (1/28 付)
- 家が密集した江戸の町はたびたび大火に見舞われた。そこで江戸中期、庶民を... (1/27 付)
- 27歳の平幕大栄翔が初優勝した大相撲初場所で、地味ながら光る記録が生ま... (1/26 付)
- 献血キャンペーンとかけまして、「たつてと」と解く。そのこころは。どちら... (1/25 付)
- 福岡県太宰府市の九州国立博物館にある「知恩院・弥勒(みろく)下生経変相... (1/24 付)
- 島・島・巴里からの便り。興味をそそられるタイトルの絵画展が、薩摩川内市... (1/23 付)
- 以前なら、ドナルドといえばアヒルのキャラクター、トランプといえばカード... (1/22 付)
- 床に足跡の印があれば、大方の人があまり深く考えずそこに立つだろう。コン... (1/21 付)
- 受験の不正行為と言えばカンニングが思い浮かぶが、マスクの着け方がやり玉... (1/20 付)
- 大酒を飲み、癇癪(かんしゃく)を起こして母や子供達に手を上げる父の姿は... (1/19 付)
- 奄美の郷土料理の代表格と言えば、知名度の高い鶏飯だろう。薩摩藩の役人を... (1/18 付)
- 江戸時代、佐賀藩は異国船から長崎を警備する役目を担っていた。ところが1... (1/17 付)
- 福岡市南部の油山自然公園は、市街地を見下ろす憩いの場として市民に親しま... (1/16 付)
- 学問の神様、菅原道真を祭る多くの神社には、道真の使いとされる座った牛の... (1/15 付)
- 「日本のいちばん長い日」といえば、太平洋戦争終結の日の内幕を描いた映画... (1/14 付)
- 延岡市の海で小学生が真新しいサッカーボールをなくした。その悲しみは2カ... (1/13 付)
- 三陸地方に「津波てんでんこ」という言葉がある。津波が来たら、てんでばら... (1/12 付)
- 大人になるとは、どういうことなのか。明治政府が公布した徴兵令は、20歳... (1/11 付)
- あたろうかあたろうよ-。市街地が今ほど立て込んでいなかった昔、童謡「た... (1/10 付)
- 両翼を大きく広げ、空を舞う鳳凰(ほうおう)の姿が美しい。力強いタッチで... (1/9 付)
- 江戸時代のお家騒動を題材とした歌舞伎「毛抜(けぬき)」の大詰め、主人公... (1/8 付)
- カーブの手前で手を放すとハンドルがひとりでに動いて曲がっていく。俳優の... (1/7 付)
- 中国への返還を3年後に控えた1994年、香港映画のイメージを変えたとい... (1/6 付)
- 観客のいないホールに盛大な拍手が鳴り響いた。元日にテレビ中継されたウィ... (1/5 付)
- 奥州藤原氏初代の清衡(きよひら)が、宴席で食べた貝の殻を捨てようとして... (1/4 付)
- 鹿児島弁には「若(わこ)おないやしつろ(若くなられたでしょう)」という... (1/3 付)
- 頬を刺す風の冷たさも、この日ばかりは身も心もすすがれるようで心地いい。... (1/1 付)
- 鹿児島市出身の京セラ創業者、稲盛和夫さんから興味深い話を聞いたことがあ... (12/31 付)
- 「水かさのへった冬の川はひとしお澄みきって、冷たい音をたてて流れた」。... (12/30 付)
- 「中国武漢で謎の肺炎」。正月が明けて間もない1月7日付本紙に、武漢市で... (12/29 付)
- 新鮮なブリを頂いた。「嫁ブリのお裾分け」と添え書きがある。福岡など北部... (12/28 付)
- 鹿児島市との境に近い薩摩川内市入来の岩下川流域は、大小10カ所以上の滝... (12/27 付)
- 最近、ふと気づくと口ずさんでいる。「あれは三年前 止めるアナタ駅に残し... (12/26 付)
- 新型コロナに振り回されっ放しの年だが、感染が広がる前、日本にとって歴史... (12/25 付)
- 渡世人の忠太郎は、五つの時に生き別れになった母おはまを捜し続けている。... (12/24 付)
- 丑(うし)年の年賀状の図案に悩む父親に、小学生の息子が自作の瓶入り牛乳... (12/23 付)
- 流線形のボディーに大きな窓の路面電車をよく見かけるようになった。鹿児島... (12/22 付)
- 「山におしまくられた人びとがかろうじて渚に踏みとどまり、フジツボのよう... (12/21 付)
- サッカーJ3の鹿児島ユナイテッドFCはきょう、鹿児島市の白波スタジアム... (12/20 付)
- 今年は近代看護の礎を築いた英国の看護師ナイチンゲール生誕から200年に... (12/19 付)
- 「して見せて、言って聞かせて、させてみる」。江戸中期の米沢藩主で名君と... (12/18 付)
- 2年ほど前から自宅の庭先に猫が現れるようになった。声を掛けているうちに... (12/17 付)
- 小松政夫さんの訃報を聞いて、ハチャメチャなギャグとともに懐かしく思い出... (12/16 付)
- 今では名曲として知られているクラシックの作品も初演の評価はさまざまだっ... (12/15 付)
- 静かな展示室でシャッター音だけが響く。カメラを構えるのは、ほとんどが“... (12/13 付)
- その花の名を知ったのはご多分に漏れず、昭和の大ヒット曲「シクラメンのか... (12/12 付)
- <ふるさとの訛(なまり)なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく... (12/11 付)
- 若者が古里の将来に関心を寄せる姿は頼もしい。防衛省が西之表市で開いた住... (12/10 付)
- 日本三景や三大行事、三羽がらすなど、ものごとを三でまとめると据わりがい... (12/9 付)
- 「早く戦争が終わって、おいしいコーヒーが入れたい。それだけが僕の望み」... (12/8 付)
- 奄美群島ではミーニシと呼ばれる北風が吹き始める10月下旬ごろからサトウ... (12/7 付)
- 「人と人、人と本つなぐ図書館へ」と題した学校図書館司書の投稿が、本紙ひ... (12/6 付)
- 絵の具の匂いが残る放課後の美術室で、進路や家庭の悩みをよく聞いてもらっ... (12/5 付)
- 「土石流で用水路が埋まった」。8月、福岡市の非政府組織「ペシャワール会... (12/4 付)
- ハノイに赴任した知人が、現地のフォーの店を気に入ったそうだ。ベトナムの... (12/3 付)
- 伊佐市の羽月西小学校の渡り廊下には、毎年冬になると干し柿が並んだ。東日... (12/2 付)