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 奄美群島ではミーニシと呼ばれる北風が吹き始める10月下旬ごろからサトウキビの収穫と黒糖焼酎の仕込みが始まる。来週には奄美大島の大規模製糖工場が操業し、本格的な製糖シーズンが幕を開ける。

 キビを荷台いっぱいに積んだトラックが行き交い、工場に次々運び込まれると、島がにわかに活気づく。サタヤドリと呼ばれる砂糖小屋の辺りは黒糖の甘い香りに思わず誘われる。いずれも、この時季の風物詩である。

 龍郷町の水間製糖は大釜による昔ながらの製法を続ける。キビ汁に固めるための食用石灰を入れて煮る。別の釜に移し、キャラメルのようなとろみが出るまで煮詰める。板状に伸ばして冷やすと出来上がる。

 一連の工程は約2時間かかり、最盛期は1日に5回繰り返す。代表の水間範光さんは「石灰の分量が一番難しく、経験と勘が頼り。地元に喜ばれる味を守りたい」と話す。

 黒糖は料理をはじめ、菓子作りにも欠かせないが、黒糖焼酎の原料は主に沖縄や外国産の安い黒糖が使われてきた。近年は地元産にこだわる蔵元も出始めており、全銘柄を奄美産で賄う蔵の杜氏は「香り豊かでまろやか」と胸を張る。

 自社で黒糖づくりを手がける動きも広がりつつある。島外産でもおいしい焼酎ができるとはいえ、「わきゃしま(わが島)」の黒糖でできた焼酎はやはりひと味違うだろう。左党ならずとも応援したくなる。