( 12/10 付 )

 若者が古里の将来に関心を寄せる姿は頼もしい。防衛省が西之表市で開いた住民説明会を伝える本紙記事に、そんな思いを強くした。地元高校生が参加し、質問に立った生徒もいた。

 種子島の西約12キロにある無人島の馬毛島に自衛隊基地を造り、米軍空母艦載機の訓練にも使う計画の説明会である。20、30年後の島を支える若者が、賛否が分かれる問題を深く学ぼうとしている。当事者意識と行動力は地域の財産だろう。

 ただ、防衛省側との対話が生徒らを満足させたかどうかは疑わしい。「米軍が飛行ルートを守らなかったら、どう対応しますか」。沖縄県など米軍施設のある自治体の現状を調べれば、当然抱く疑問といっていい。だが、明確な回答はなかった。

 哲学者の中島義道さんは著書「『思いやり』という暴力」で、対話の基本原理の一つに「相手との対立を積極的に見つけていくこと」を挙げる。疑問や異議をお互いに投げ掛け、心のこもった言葉の往還を重ねる。その先に双方の新しい「了解」がある、というわけだ。

 国が住民の理解を得たいのなら、まずは質問に誠意を持って答えるべきではないか。大人たちが真の対話を深める姿を次世代の担い手たちに見せたかった。

 説明会の後、「防衛省の答えはわざと的を外しているようにみえる」と感想を語る生徒もいた。大人のずるさが見透かされたように思えてならない。