( 12/11 付 )

 <ふるさとの訛(なまり)なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく>。東京で暮らしていると、石川啄木のように郷愁に駆られてお国言葉を聞きたくなることがある。

 サッカーJ3鹿児島ユナイテッドの試合観戦もそうだ。首都圏である試合でアウェー席に陣取れば、懐かしい鹿児島弁やカライモ標準語が耳に入ってくる。県出身者やはるばると駆け付けたサポーターが大半だろう。不思議な一体感に包まれて心地いい。

 上京して35年になる同郷の友人も、J2に昇格した昨季から足を運ぶようになった。帰省中に好ゲームを見たのがきっかけで、薄れつつあった鹿児島との縁を確かめる大切な場になっているそうだ。

 ところが、今季戦っているJ3は首都圏のチームが二つしかなく、観戦機会が減ってしまった。新型コロナウイルス対策で声援を送ることが禁じられている。アウェー席が設けられていないスタンドもあって、ふるさとの雰囲気を味わうことができない。

 おととい夜のY横浜との試合は今季最後のアウェー戦だった。3連勝を飾ったユナイテッドの選手たちのプレーには、J2昇格に懸ける熱い思いが感じられた。スタンドからの静かな中にも気持ちのこもったエールが後押ししたに違いない。

 ホームであと2試合が残っている。心おきなく声を張り上げて応援できる来季を信じて、首都圏のファンも健闘を祈っている。