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 2年ほど前から自宅の庭先に猫が現れるようになった。声を掛けているうちに警戒心が解けたのだろう。少しずつ距離を詰め、今では靴に体をこすり付けて両足の周りを8の字を描いてぐるぐる回る。

 猫の行動には謎が多い。鹿屋市出身のスポーツ写真家・繁昌良司さんは、狭い所を好む習性に興味を持ったらしい。側溝のふたの隙間や排水口などを出たり入ったりする瞬間を撮りため、写真集「あなねこ」を出した。

 小さな穴から顔をのぞかせてカメラをにらんでいたり、お尻だけ見せていたり、自由気ままな姿が楽しい。お気楽な毎日がうらやましくもなるが、これは人間の勝手な思い込みのようだ。

 動物学者の今泉忠明さんの著書「猫脳がわかる!」によると、以前は人の脳の研究に猫が使われたほど両者の脳の構造は似ているのだという。記憶力が優れ、嫌なことをいつまでも覚えている。恐怖や不安も感じやすい。

 寝そべって毛繕いしたり大あくびしたりといった行動も、イライラしたときに心の平穏を取り戻そうとする「転位行動」の場合があると説く。彼らなりにストレスがあり、対処法を心得ているわけだ。

 何かと気のせく年末である。増え続ける新型コロナの感染状況を見れば、ますます落ち着かない。気持ちが行き詰まりそうなときは、猫を思い浮かべてはどうか。心の負担をやり過ごすヒントがあるかもしれない。