( 12/19 付 )

 今年は近代看護の礎を築いた英国の看護師ナイチンゲール生誕から200年になる。戦地の病棟で、明かりを手に毎晩欠かさず見回り、「ランプの貴婦人」と呼ばれた。

 看護学校では毎年この時期、病院実習を前に戴帽・戴灯式を開く。生徒はランプを模したキャンドルを持ち、奉仕の心を胸に刻む。朗読するナイチンゲール誓詞は「わが手に託されたる人々の幸のために身をささげん」と結ぶ。

 新型コロナの医療現場は、まさに戦地の様相である。感染者数は最多更新が続き、北海道や大阪には自衛隊の看護師も派遣された。感染するリスクを負いながら奮闘する姿には頭が下がる。

 厳しい現場を象徴するのが感染を防ぐための防護服だ。鹿児島県看護協会長の田畑千穂子さんは「暑さや息苦しさは相当つらい。体力を容赦なく奪う」とおもんぱかる。看護以外にも配膳や清掃などをこなさなければならない。

 県内の病院で先日、ウイルスに感染し入院した患者が机に残したメッセージが話題になったそうだ。感謝に続いて「毎日防護服に着替え、掃除、消毒、体調管理まで大変ご苦労をおかけしました」。スタッフの何よりの励みになったに違いない。

 田畑さんも「コロナ禍の今だからこそ、ナイチンゲールのともしびを守らなければ」と決意を新たにする。医療界への温かいエールはコロナ禍の出口を照らすともしびとなるだろう。