( 12/22 付 )

 流線形のボディーに大きな窓の路面電車をよく見かけるようになった。鹿児島市交通局が18年前に初めて導入した超低床電車「ユートラム」である。乗り場と乗降口の段差が小さく乗り降りしやすいうえ、緑化が進む軌道敷にも映える。

 先日、ひときわ目を引く1台が仲間入りした。鹿児島市とパートナーシップ協定を結ぶ仏ストラスブール市をイメージしたラッピング電車だ。ロマンチックな夜の街並みやクリスマスツリーが描かれ、今の季節にとても似合う。

 フランスとドイツが領有権を争った歴史を持つ国境の街は人口27万人ながら、欧州連合(EU)の議会がある国際的な文化都市としても知られる。車がひしめき合う街を歩行者が主役の街に変えよう-。二十数年前にその切り札として路面電車を復活させた。

 市街地から車が少なくなったことで、緑化やカフェなどの新たな空間が生まれ、多くの人が行き交うようになったという。公共交通機関を軸とした持続可能な街づくりのお手本のような取り組みだ。

 鹿児島市の森博幸市長は鹿児島港本港区エリアへの市電延伸を公約に掲げてきた。ストラスブール市のような路面電車を生かした街のにぎわいを目指したのだろう。

 森市長はきょう退任し、バトンを40歳のリーダーに引き継ぐ。県都の未来図に路面電車はどう描かれるのだろうか。仏の文化都市の知恵も大いに借りたい。