( 12/25 付 )

 新型コロナに振り回されっ放しの年だが、感染が広がる前、日本にとって歴史的な明るいニュースがあったのをお忘れではないか。地質年代に新たに加わった「チバニアン(千葉時代)」である。

 46億年の地球史のうちまだ名前のなかった約77万~約12万年前について国際学術団体が決定した。日本に由来する年代名が付くのは初めてだ。教科書や辞典にも末永く刻まれる。

 千葉県市原市の河原にある地層が命名の根拠となった。地球の磁場のN極とS極が逆転を繰り返す中で、最後に逆転したのが77万年前。鉱物などから当時の痕跡を確認しやすいとして、同様に申請したイタリアの2カ所に競り勝った。

 現地に設置された案内所から河原へ下りると、高さ十数メートルの黒っぽい浸食崖が見える。海底に積もった地層が急激な地殻変動でこの地に露出したのは偶然とはいえ、その貴重さに気付かされる。

 地球の磁場は生命が存在するための環境を守る働きがある。どうして逆転するかはよく分かっていないが、氷河期の到来など気候変動にも関係するらしい。次の逆転時期や影響を探る上で、ここは資料の宝庫という。

 地球の歴史で“ごく最近”のチバニアンはわれらの祖先ホモ・サピエンスが現れた時代に重なる。方位磁石の赤い針が南を指す頃、人類はどんな暮らしをしているだろうか。千葉の崖が太古へ、未来へロマンをかきたてる。