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 「中国武漢で謎の肺炎」。正月が明けて間もない1月7日付本紙に、武漢市で原因不明のウイルス性肺炎の発症者が相次いでいるという記事が出ている。国内初の新型コロナウイルス感染者が確認されたのは、そのわずか10日後だった。

 謎のウイルスが「パンデミック(世界的大流行)」となって人々を恐怖に陥れることになると想像できた人がどれほどいただろう。膨れ上がる感染者数に心ざわつく日が今も続く。

 コロナ一色の日常で、心温まるニュースにふっと気持ちが軽くなった。そんな記事を集めた「日本のあかるいニュース」(文響社)には、鹿児島発の話題が3本も載っている。

 トップを飾るのは、この春、JR鹿児島中央駅にお目見えした駅員手書きの“卒業証書”。式が中止されたり、校歌が歌えなかったり、異例の門出となった若者たちを祝福したいという優しさがにじむ。

 医療用かつらを必要とする人のために伸ばし続けた髪を寄付した鹿児島市の小学男児には元気と勇気をもらった。大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」に登場する独特の毛筆書体がさつま町の企業で制作されている話はちょっと誇らしい。

 監修したジャーナリストの池上彰さんは「お互いを思いやる気持ちがより重要視される時代になっていく」と記す。いわれなき中傷が飛び交うご時世、人と人のつながりを実感できる記事に救われる思いがする。