( 12/31 付 )

 鹿児島市出身の京セラ創業者、稲盛和夫さんから興味深い話を聞いたことがある。人生や仕事で望ましい結果を得るための成功方程式である。それは能力、熱意、考え方の掛け算だという。

 掛け算だから、三つのうち一つでもゼロなら結果もゼロになる。能力に恵まれ、意欲に燃えていても、考え方が不平不満という「毒」に支配されれば成果は得られないというわけだ。

 稲盛さんは他社が敬遠する難しい仕事をあえて受注し、ライバルが諦めたもう一歩先まで努力してきた。経験と自信に基づく経営論であり、人生観でもあるのだろう。能力は人並みでも考え方が前向きなら望みはあるという、後進への激励にも聞こえる。

 今年は新型コロナという厄介な病原体に世界中が翻弄(ほんろう)され続けた。感染の不安や不自由な暮らしへのいら立ちと無縁でいられた人は多くあるまい。そんな「毒」が感染者やその関係者に向けられもした。

 年が明けてもすぐに事態が好転する見通しはない。こんな時こそ、成功方程式に数字を当てはめてみてはどうか。今はまだ暗中模索でもゼロさえなければ、一歩ずつでも前に進める。来年は新しい生活様式を見つけ出す年にしたい。

 いろんなことが変わるなら、コロナ以前より暮らしやすい社会をつくることだってできる。諦めず挑戦を続け、もうひと踏ん張り。そんな心持ちで、来る年を晴れ晴れと迎えよう。