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 観客のいないホールに盛大な拍手が鳴り響いた。元日にテレビ中継されたウィーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートの一こまである。オンラインで結ばれた世界中の7000人の拍手をスピーカーで鳴らしたそうだ。

 聴衆の拍手とともに演奏される「ラデツキー行進曲」では、指揮者が客席を向いてタクトを振るおなじみの光景は見られなかった。ただ、無観客の物足りなさよりも、コロナ禍を超え、新たな一ページが刻まれたことに胸が熱くなった。

 昨年夏、新型コロナの感染拡大で延期を余儀なくされた第41回霧島国際音楽祭が、きょうから霧島市のみやまコンセールなどで始まる。若い音楽家を育んできた祭典の長い歴史がつながったことを喜びたい。

 座席数を制限するなど感染防止対策を取った上で演奏会を開く一方、ネット配信にも力を入れる。家にいながら一流の演奏家の公演やトークショーを無料で楽しめるのはありがたい。

 バッハ演奏の権威として世界的に知られる鈴木雅明さん率いる「バッハ・コレギウム・ジャパン」のコンサートや、南さつま市にルーツがある英国在住の作曲家藤倉大さんの新曲初演も楽しみだ。

 首都圏で緊急事態宣言の再発令が検討されるなど感染の広がりは深刻さを増す。過酷な状況だからこそ、音楽が持つ希望や癒やしの力が必要とされるはずだ。霧島から世界に発信したい。