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 大人になるとは、どういうことなのか。明治政府が公布した徴兵令は、20歳に達した男子を軍隊に駆り出した。昭和に入ると兵役法に変わり、戦線へと背中を押した。

 国に命をささげる覚悟を求められた時代は、終戦とともに終わる。1948年に施行された祝日法は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ため、成人の日を定めた。

 51年1月15日付の本紙は、社説で成人の日を取り上げる。まだ日本が主権を回復する前で、世相は混乱していた。だからこそ「おとなになろうとする人たちに、次の時代を誠実に生きてもらいたいと願う気持ちが切実である」と書いた。

 きょう、鹿児島県では1万3500人余りが成人の日を迎える。首都圏に緊急事態宣言が再発令され、新型コロナによる大混乱のさなかである。「一生に一度の機会なのに正直肩身が狭い」。式典を前に鹿児島市への帰省に迷う都内の大学生が、取材にこんな思いを明かしていた。

 再びの宣言を受け、市は急きょ、対象地からの式典参加に自粛を求めた。晴れ着や祝いの席を用意していた本人や家族の落胆はどれほどだろう。

 70年前の社説は「現実に負けそうになる青年の心を支え励ます方法を、もっとわれわれは親切に考えてやる必要はなかろうか」と提言した。コロナの時代を生きる全ての大人たちへの問い掛けでもある。