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 延岡市の海で小学生が真新しいサッカーボールをなくした。その悲しみは2カ月ほどして大きな喜びに変わった。200キロ以上離れた中種子町の海岸で見つかったからだ。

 手元に戻ったことを仲間と喜び、「奇跡のボール」と名付けたと伝える昨年末の本紙記事に心が和んだ。名前入りのボールの写真が会員制交流サイト(SNS)で発信され、所属するチーム関係者の目に留まったという。

 手軽に発信でき人と人を結び付けるSNSの面目躍如と言えよう。ただ、危険と隣り合わせであることを忘れてはいけない。例えばデマでも瞬時に拡散される。こうした負の側面を世界に知らしめたのが、間もなくその座を降りるトランプ米大統領である。

 大統領選に敗れながらも「不正な選挙」「票が捨てられた」と根拠のない主張をツイッターで連発した。今月初旬には、あおられた支持者らがバイデン次期大統領の当選認定手続き中の議会議事堂を一時占拠する事件を起こした。

 ツイッター社は暴力をさらに扇動する危険があるとして、トランプ氏の利用を永久に止める措置に出た。「表現の自由」を巡っては賛否が分かれるが、国民の分断を深めた責任が重いのは確かだ。

 若者を中心にSNSが身近になる中、トランプ氏を反面教師に慎重な利用を心掛けたい。便利さだけでなく、時に悪夢をもたらしかねないもろ刃の剣と自覚しながら。