( 1/15 付 )

 学問の神様、菅原道真を祭る多くの神社には、道真の使いとされる座った牛の像がある。「なでると賢くなる」と伝わり、たいてい頭が磨かれたように輝いている。

 でも新型コロナが怖い今は気安くなでられない。東京の湯島天神に置かれた御神牛(ごしんぎゅう)は仮設の柵に囲われて寂しそうだった。緊急事態宣言下とあって合格祈願の参拝客はまばらだが、干支(えと)にちなんだ牛の絵馬は幾重にも掛けられ、志望校名がひしめいている。

 あすから初めての大学入学共通テストが始まる。31年続いたセンター試験から思考力重視の出題に変わるのに加え、感染が急拡大する中で本番を迎える不安はいかばかりか。

 試験方式の“改革”にも振り回された。目玉だった英語民間検定試験と記述式問題の導入が見送られたのはつい1年ほど前だ。受難続きだけに無事乗り切ってほしい。

 試験会場ではマスクの着用と手指の消毒を徹底し、試験室は窓を開放する時間帯があるため厚手の上着を用意するなど寒さに備えたい。休憩中も友人との会話はできるだけ控えた方がいい。

 これまで本人も家族も感染防止に神経をすり減らす日々が続いたはずだ。分散参拝の呼び掛けに応じて昨年中に神頼みを済ませた受験生も多かろう。後は実力を十分発揮できるよう落ち着いて試験に臨むだけ。こつこつと努力を重ねた先に、お礼参りで御神牛をなでられる日がきっと来る。