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 以前なら、ドナルドといえばアヒルのキャラクター、トランプといえばカードゲームを思い浮かべた。でも今では真っ先にあの人の姿が浮かぶ。

 世界中の人々に強烈な印象を焼き付け、米社会の分断という禍根を残してホワイトハウスを去ったドナルド・トランプ前大統領である。慣例に反して新大統領就任式を欠席したのは、いかにもトランプ氏らしい。

 大方の予想を覆して大統領に就いてからの4年間、意に染まない側近や閣僚を次々に更迭し、気に入らない報道はフェイクニュースと決めつけた。ツイッターのつぶやきは世界を大きく揺さぶった。そんな独裁者が登場する劇を見せられてきた気がする。

 温暖化対策のパリ協定からの離脱をはじめ、米国第一主義の本音をむき出しにして国際社会を振り回した。「ディール(取引)」に象徴されるようにビジネス感覚の外交を展開した。

 功罪の功を挙げるなら、大国のリーダーも過ちを犯すと知らしめたことだろうか。最近では新型コロナウイルス対策、議事堂襲撃の扇動…。それでも歯に衣(きぬ)着せぬ言動に熱狂する支持者は多く、4年後の再登板を期待しているようだ。

 去り際のあいさつは「また会おう」と意味深長な言い回しだった。退任後の動向がこれほど注目される大統領もいないだろう。分断が解消されないまま、トランプ劇場の幕が再び上がるのはあまり想像したくない。