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 島・島・巴里からの便り。興味をそそられるタイトルの絵画展が、薩摩川内市の川内港高速船ターミナルで開かれている。二科会会友で宮之城中学校教諭の石原琢二郎さんの個展だ。

 一つ目の「島」は出身地の甑島で、創作の原点である。大漁旗をなびかせて海を進む漁船と少女の顔が二重写しになった作品は、少年時代の記憶がモチーフになっている。濃い青のモノトーンが印象に残る。

 もう一つの「島」は屋久島だ。かつて訪れた際に森の色彩に圧倒され、それまでの作風が一変した。会場にあった1枚は日光の下、皮がはがれた大木の根元を大写しし、木肌と周囲の緑の対比を鮮やかに浮かび上がらせる。

 屋久島が転換点となって作品の幅が広がり、その後県美展大賞、南日本美術展海老原賞を受賞し、パリに1年間美術留学した。今回は二つの島とパリの3カ所で育まれた感性が楽しめる38点が並ぶ。

 甑大橋や里武家屋敷跡、ナポレオン岩など甑島の名所を描いた水彩画も目を引く。絵はがきの原画として地元から依頼された。石原さんは「故郷のお役に立てるのなら」と快諾、昨年取材のために数度通った。

 緻密に塗り込まれた大作とは対照的な軽やかなタッチ、淡い色彩ながら的確な描写は土地の空気感まで思い起こさせる。「甑島に足を運ぶきっかけになれば」。確かに旅情をそそられる絵はがきである。個展は27日まで。