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 社会は徐々にしか変わらない-。スコットランドが舞台のミステリー小説「黒と青」に出てくる記者メイリーは、女性が冷遇される現実を前に言う。「平等という大量の光沢剤が以前からの古い壁紙の上にぶちまかれただけ」。

 一気に光沢剤が剥がれ落ちたといったところか。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」。女性蔑視とも取れる発言をしたのは、東京五輪・パラリンピック組織委員会のトップ、森喜朗会長である。

 内輪の世間話ではない。日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、記者にも公開されていたオンライン会議の場だ。翌日、会見で発言を撤回し、謝罪したものの後の祭り。日本の古い壁紙を世界中にさらしてしまった。

 海外メディアは、日本の現状を合わせて批判的に報じた。企業や公務員の女性管理職は2019年時点で14.8%にとどまり、米国の40%超、英仏の30%超と比べて開きが大きい。女性議員の比率の低さを取り上げた米紙は「政治機構が世界で最も男性優位な国」と指摘した。

 先日の本紙は県内自治体の管理職への女性登用率を報じた。11市町村がゼロ。県平均10.3%は、全国44位と情けない。男性優位な県の汚名を返上しなくては。

 古い壁紙を貼り付けている接着剤は強力だ。またこの上に、光沢剤でごまかし続けるのか。いっそ、壁ごと新しいものに取り換えたほうがいい。