( 2/7 付 )

 中・高校の定期テストが終わると、レコード店に行くのが楽しみだった。限られた小遣いで買えるのはせいぜいシングル盤1枚。とはいえレコードの束をめくって欲しい曲を探すのは、解放感も相まって至福の時に思えた。

 アナログ盤全盛の1970年代のことだ。お目当てが見つからずにいたら店員が探してくれた。両手の指先を器用に動かし“高速検索”する様はまさに職人芸だった。

 当時通っていた鹿児島市内のレコード店は今はほとんどない。80年代にCDが登場してしばらくはよかったが、中央資本の進出などで減っていった。インターネットの楽曲配信が広がり、そうした店すら撤退した。

 そんな時代の中、東京の下町の老舗レコード店が最近閉店した。ニュースを見ながら今まで個人経営で維持していたことに少々驚いた。新型コロナウイルスの影響で売り物だった演歌歌手の店内ライブを開けず、客数が激減したという。

 店主夫婦は80歳前後、後継者もいなかったらしい。東京は感染者が爆発的に増え、外出の自粛や手指消毒の徹底が求められる時期が長く続く。主な客層が感染に敏感な高齢者では難しかったのだろう。

 ネット配信は欲しい曲がすぐ手に入って、確かに便利だ。それでも配信に関わる米巨大IT企業がコロナ下で最高益を上げたと聞けば、シャッターを閉じたレコード店の風景が余計寂しく感じられる。