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 「ほんとにこの島が気に入ったわ。ねぇ、どこかに別荘建てられないかしら」。作家の森瑤子さんは、与論島が舞台の小説「アイランド」の登場人物にこう語らせた。

 作中にはコバルトブルーの海や真っ白な砂浜、サンゴ礁など島の魅力がちりばめられている。森さんは生前、自身も絶景の地に別荘を購入した。今は庭園が開放され人気スポットだ。

 先日あった高校生の観光動画コンテスト「観光甲子園」の決勝で、与論高校の2チームは森作品にも描かれた自然や文化をPRした。外国人に見どころを伝える「訪日観光部門」で、全国429チームから上位6チームに同時に入ったのは快挙と言っていい。

 波や風の音、鳥のさえずりを収録し、小型無人機ドローンで干潮時だけ沖合に現れる観光名所「百合ケ浜」を撮るなどの工夫が、素材の素晴らしさを際立たせた。賞は逃したが、「体感したいと思わせる」と評価されたのもうなずける。

 会員制交流サイト(SNS)の発信で活況が戻りつつあった島の観光業は現在、コロナ禍で苦境にある。「収束後に人を呼び込むきっかけにしたい」と出場した生徒の活躍は、住民を勇気づけただろう。

 森さんは「世界で一番きれいな海と温かい人々」と語っていたという。「観光甲子園」の公式サイトで見られるそれぞれ3分間の動画からは、そんな島に対する若者たちの誇りが伝わってくる。