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 相馬、石巻、浪江-。聞き覚えのある東北の地名をテレビの速報が繰り返す。東日本大震災から10年を迎えようとする矢先、福島、宮城両県は再び大きな地震に見舞われた。「災害は忘れたころにやって来る」という警句が恨めしく思えた。

 東日本大震災の余震とみられている。10年の時の流れと余震という言葉がすぐには結び付かないが、地震の規模が大きければ大きいほど余震が続く期間も長くなるという。まだまだ気は抜けない。

 崩れた斜面の土砂が高速道路を覆い尽くし、石灯籠や塀はなぎ倒されていた。「あの時よりも揺れは大きかったかもしれない」と振り返る被災者もいた。10年前のことを夢に見ていると一瞬思った人もいたそうだ。

 「自然ほど伝統に忠実なものはない」。冒頭の警句を発した物理学者の寺田寅彦はこう書き記す。「地震や津波は流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来る」と注意を促す。

 そんなしつこい自然に対して、日々の暮らしに追われ、つい忘れてしまいがちなのが人間だと評する。「災害を防ぐには、もう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はない」とくぎを刺す。

 津波の心配はないと言われても信じられないから教訓として高台に避難した男性の話が本紙に載っていた。大きく構えることは防災の基本だ。災害常襲地帯に生きるわれわれも肝に銘じたい。