( 2/17 付 )

 しばらく前、鹿児島市の旅行代理店で「最終号」と書かれた全日空の時刻表が目に留まった。自由に持ち帰れる冊子タイプである。今月からオンライン時刻表に変わったという。

 めくってみれば沖縄の石垣島は羽田、関西、名古屋、福岡とも直航便がある。世界の国々と国内の空港を結ぶ国際線も載っていた。冊子の時刻表では観光客やビジネス客が多い路線を一覧できるのが楽しい。

 JR九州も来月のダイヤ改正に合わせ、冊子型の時刻表を廃止する。国鉄時代から各駅で無料配布しており、昨春は約23万部発行した。インターネットで調べる乗客が増えて冊子の役割が減ったのは全日空も同じだろう。

 空席状況や料金まですぐに分かるネットは重宝する。旅行代理店の窓口に行く手間も省ける。コロナ下の今、自宅にいながらにして海外を旅するオンラインツアーにも人気が集まっている。パソコンを通し電車に乗り観光施設を案内してくれるという。

 現地の空気を体感できないとはいえ、旅行の準備や費用を考えると、時差も体験できて手軽に旅行気分を味わえる。高齢者でも体調が少々悪くても参加できる。ネットが旅の姿を次々と変えている。

 ただ一抹の寂しさはある。人と出会う旅の醍醐味(だいごみ)は薄れ、便利さや効率化の陰で、航空機や列車の予約でも言葉を交わすことが少なくなった。心の距離まで広がっていないか気になる。