( 2/23 付 )

 今から30年前の大相撲夏場所で、世代交代を印象づける一番があった。35歳となった「小さな大横綱」千代の富士が、18歳の「若武者」貴花田(後の横綱貴乃花)と初顔で当たり完敗、2日後に土俵を去った。

 トップアスリートの前には、いずれ飛ぶ鳥を落とす勢いの若手が立ちはだかる。女子テニスの大坂なおみ選手が、全豪オープンで2年ぶり2度目の優勝を果たした。準決勝では新時代の幕開けを見せつける場面があった。

 敗れた39歳の元女王セリーナ・ウィリアムズ選手が、23歳の大坂選手の肩を抱き寄せ、背中をポンポンとたたいた。「悔しいけどあなたが女王だ」と認めているようにも見えた。大坂選手が何度もお辞儀をしていたのが印象的だった。

 「うまくいかなくても自分にプレッシャーをかけず、1ポイントずつ戦う」。その言葉通りの決勝だった。相手に攻め込まれても冷静さを失わずに耐えて流れを呼び込んだ。

 コート外の存在感も光った。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言には、「情報不足で少し無知な発言だと思う」と述べた。率直で核心を突く言葉は世界で戦う中で培われたものだろう。

 「経験を重ね、自信につながっている」。会見の言葉に“絶対女王”は手の届く所に来ていると感じた。ウィンブルドン、全仏。栄冠をつかんでいないグランドスラムに期待が膨らむ。