( 2/27 付 )

 「梅にウグイス」は万葉集にも出てくる言葉だ。共に初春を指す季語であり、取り合わせの妙も表す。美しい花と澄んだ一声の組み合わせが先人の心をつかんだのだろう。

 福岡県大牟田市の普光(ふこう)寺は、300本近い梅の木が見頃を迎えている。全長約24メートルを誇る臥竜梅(がりゅうばい)がとりわけ見事だ。地をはう竜のような姿に見とれていると「チーヨ、チーヨ」とあちこちから鳴き声が聞こえてくる。

 白い縁取りの目がかわいらしいメジロである。ちょこちょこと枝から枝へ飛び移り、せわしそうに梅の蜜を吸っていた。ウグイスのさえずりは聞けずじまいだったが、紅白の梅花と緑色の羽の組み合わせは、ふすま絵のように鮮やかだった。

 甘い蜜に群がるのはメジロだけではないようだ。総務省の官僚が、菅義偉首相の長男が勤める放送事業会社から繰り返し接待を受けていた。処分された事務次官級を含め幹部らに、公僕としての自覚はみじんも感じられない。

 放送許認可の手綱を握る省庁と番組制作をなりわいとする会社なのに、「利害関係が薄い」との言い訳は苦しい。接待を受けた中には首相が抜てきした内閣広報官もいた。表に出て来ぬ官邸から、一声あったかと疑いたくもなる。

 春の陽気が近づき、早くも桜の便りがあちこちから届き始めている。梅から桜へと移ろうメジロの風情に比べるまでもなく、「官に接待」の興ざめなことよ。