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 奄美のスモモの木は白くかれんな花を付ける。いくつもの枝に密集して咲き、雪が降り積もったように見える。そんな光景が半月前、数年ぶりに県内一の産地である大和村の畑に広がり、甘い香りを漂わせた。

 <雪の如く李(すもも)吹きちる厩(うまや)かな 島田五空>。花の終わりは早く、今は青い新芽が吹き出している。本州で栽培されているスモモとは別の台湾原産の品種で、昭和10年ごろに導入された。当初は旧名瀬市で盛んだった栽培が大和村にも広まった。

 ただ、2018年に65トンあった生産量は19年は16トン、昨年は3トンに激減した。暖冬や台風被害の影響で花付きが悪く、不作になったとみられている。今期は年末から1月にかけて冷え込み、花芽が目覚める「休眠打破」がうまくいったようだ。

 「順調にいけば豊作だろう」。防風林で囲った畑に約200本を育てる梅畑益雄さんの表情は明るい。山の斜面に立つ木も多く、81歳にはこたえる手入れ作業だが、県外で待つ子や孫に届けようと精を出す。

 果実は深紅に色づく5月下旬から1カ月ほど収穫される。甘酸っぱいしゃきっとした歯ごたえを楽しむもよし、熟して甘くなってから味わうもよし。ジュースやジャムにする人も多い。

 台風シーズンの前に収穫できていたが、近年は4~6月の接近例もあり気が抜けない。豊作が期待される今年こそ穏やかな天候を、と農家は願っている。