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 マスクを重ねて着ける人を見掛けるようになった。米疾病対策センター(CDC)が感染症の予防効果にお墨付きを与えたこともあって、バイデン大統領ら要人が二重にしている姿も目にする。

 おしゃれ目的もあるのだろう。派手な色使いや柄もので不織布製を覆っている人もいる。どうせ着けるなら楽しみたい。新型コロナウイルス下の日常に潤いを見いだす工夫にほかならない。

 ただ、近ごろは耳に気の毒な気もしている。寝ているとき以外はひもで引っ張られている。こんなに長時間こき使われることはかつてなかった。耳が悲鳴を上げているかもしれない。

 もちろん、音を捉えるのが本来の役割だ。ヘッドホンやイヤホンが手放せない人も多かろう。スマートフォンなど携帯音楽機器で長時間、大音量で音楽を聴き続け、難聴になる人が増えている。世界保健機関(WHO)は世界の若者の半数に当たる11億人に危険があると警告する。

 きのうは「耳の日」だった。語呂合わせと「3」の字が耳の形に似ていることに由来する。ただ、制定した日本耳鼻咽喉科学会が難聴や言語障害を持つ人の悩みを和らげたいとの願いを込めたと聞けば、意義が深く感じられる。

 マスクで口元の動きが見えず、多くの聴覚障害者が不便を感じるという。困っている人が周りにもいることを心に留めておくことが誰もが生きやすい社会につながる。