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 暖かくなり、昼間はコートなしで出歩ける日が増えてきた。新型コロナで緊急事態宣言下の東京にも着実に春が近づいている。きょうは二十四節気の啓蟄(けいちつ)である。

 冬ごもりしていた虫たちがいそいそと穴からはい出す姿を想像すると、少しうらやましい。人が自由に動き回れるのはいつになるのやら。首都圏の新規感染者数は下げ止まり、宣言は2週間ほど延長される見通しとなった。

 コロナ下の外出控えを意味する「巣ごもり」という言葉が本紙に初めて載ったのは昨年3月13日だった。感染者数の増減に一喜一憂しながら、もう1年になろうとしている。そんな暮らしから抜け出す鍵としてワクチンへの期待が高まっている。

 重症化しやすい高齢者や持病のある人にとっては頼みの綱に違いない。ようやく日本でも医療従事者への先行接種が始まり、自分はいつ打てるのか気になる人は多いだろう。

 供給量は十分とは言えず、世界を見回せば争奪戦になっている。貴重さ故に、ペルーの大統領や政府高官が抜け駆け接種したり、米国の接種会場で高齢者に変装した人が見つかったりしている。一刻も早くとの気持ちは分かるが何とも浅ましい。

 日本でも計画通り供給されるか、大勢にスムーズに接種できるか心もとない。頭痛や発熱といった副反応が気にならなくもないが、巣ごもりから脱する姿を思い描きつつ順番を待つとしよう。