( 3/12 付 )

 今年初めてのソメイヨシノ開花がきのう広島市で発表された。気象会社の予想では週内にも福岡が続き、鹿児島は少し後になるようだ。

 開花予想日が同じ地点を地図上で結んだものを桜前線と呼ぶ。南から順に北上すると思いがちだが、近年はそうとも限らない。温暖化の影響もあって寒波で花芽が目覚める休眠打破が不十分になるのが一因という。

 こちらの「さくら」も北上だけでなく南下もする。10年前のきょう、九州新幹線の全線開業に伴い「みずほ」とともにデビューした主力列車である。鹿児島中央-新大阪は最速約3時間40分で結ばれ、関西や広島、福岡がぐっと身近になった。

 新八代以南の部分開業から7年、公募で決まった愛称には開花を待ちわびるような沿線の期待が込められていた。前日に東日本大震災が起きて祝賀イベントは中止されたが、期待にたがわず観光やビジネスの足として次第に定着していった。

 中でも関西からの気軽な旅先の選択肢に鹿児島が加わった効果は大きい。NHK大河ドラマ「西郷どん」が放映された3年前も多くの観光客を運んできた。航空機とはまた違う旅の形が好まれたのだろう。

 10周年の翌日に新型コロナ禍を反映した減便が予定されているのは寂しい。当時の浮き立った気分を思い出しながら、気兼ねなく旅行できる日を待ちたい。再び満開のさくらが行き交う日がきっと来る。