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 横綱とは同類の中で最も優れた者との意味もある。目標にされる横綱がいればこそ、追う側は研究をして努力を重ねる。各分野にそんな横綱がいるかもしれない。

 大相撲ではきのうから5場所連続で不在となったのはいただけないが、茶の産出額で鹿児島県が、まさに横綱級の静岡県を抜いた。十数年前までは倍くらい水をあけられていた日本一の茶どころを越えたのは初めてである。

 茶の需要は全国的に低迷し、両県とも前年より額を減らしている。2019年の産出額が鹿児島252億円で、静岡を1億円上回った。農地集約による規模拡大で減少率を抑え、横ばい傾向を保ってきたのが奏功したのだろう。

 全国品評会で17年連続の産地賞を獲得しているのは農家の努力のたまものだ。業界は新商品を次々と売り出し、イベントを開き、学校へ出向いては子どもに効用と味わいを説いた。静岡に追いつけ追い越せ、とこうした一つ一つの積み重ねが結実したに違いない。

 ただ、喜んでばかりはいられない。荒茶の生産量は静岡に肉薄しているものの、追いついていない。宇治茶や八女茶などと比べ、知名度も今ひとつ。地道な努力を続け、ブランド力の向上につなげたいところだ。

 大横綱に求められるのが「心・技・体」なら、茶の醍醐味(だいごみ)は「色・味・香り」だろうか。名実ともに日本一の茶どころと全国で認められる日を待ちたい。