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 1967年に制定された鹿児島県章は、地形を図案化した。真ん中の赤い円を黒い円弧が包み込み、県民の情熱と人情を表している。青を基調に風と波をデザインしたシンボルマーク(94年制定)に比べ、ずいぶん武骨で力強い印象だ。

 赤い円はもちろん桜島である。かつて、NHK放送文化研究所が行った全国県民意識調査で「鹿児島という言葉で思い浮かべるもの」として7割以上の人が桜島を挙げ、断トツだった。かけがえのない郷土の象徴に違いない。

 きのうの本紙1面を雪化粧した「桜島」の写真が飾った。宮城県石巻市にできた東日本大震災の被災者向け集団移転地にあるミニチュアである。北岳、中岳、南岳ときれいに並んだ火口や、荒々しい山肌など特徴をよく捉えている。

 取材した同僚記者は、本物そっくりの雄姿に目を見張った。夏場に鹿児島湾に見立てた周囲の池に水を張ると、頂上までの高さがちょうど千分の1の1.117メートルになるように計算してあると聞いて、恐れ入ったという。

 応援の職員を派遣した鹿児島市に対する感謝の印に石巻市が6年前に造った。桜島に形の似た大きな溶岩を現地から取り寄せるなど、細部へのこだわりに思いの深さが伝わってくる。

 石巻をはじめ、東北各地で今も多くの鹿児島県人が復興に力を尽くしている。彼らの活躍と被災地の復興を祈りながら、桜島を眺めるとしよう。