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 演劇やコンサートの初日が迫ると、リハーサルをして仕上がり具合を確かめる。演者とスタッフが会場に勢ぞろいして成功を誓い合う機会にもなる。

 大勢の技術者が携わるロケットの打ち上げ前もリハーサルをする。地上設備と接続して極低温の液体燃料を充填(じゅうてん)することから「極低温点検」と呼ばれる。ただ、確認できるのは発射直前までの手順で、エンジン点火後はぶっつけ本番である。

 開発中の基幹ロケット「H3」初号機の極低温点検が昨日まで種子島宇宙センターであった。良好なデータが得られ、深刻なトラブルがなかったのは何よりだ。来年度中の初打ち上げへ一歩前進し、スタッフは気を引き締め直しているのではないか。

 とはいえ、新型の主エンジンは開発の最終段階で不具合が見つかっている。設計を見直すため打ち上げは1年延期され、リハーサルには模擬エンジンが使われた。今後も改良型の燃焼試験などヤマ場が控える。

 前身のH2Aは37機連続成功し、国際的に高い信頼を勝ち取った。1回り大きくなりながらも、打ち上げコスト半減を目指すH3もその流れを受け継いでほしい。コストを削って失敗しては元も子もない。

 リハーサルでこまごまとした改善点は見つかったようだ。たくさんの失敗の芽に気付くことが成功につながるだろう。全てを摘み取ってすっきりとH3時代の幕開けを迎えられるといい。