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 4年ほど前のことだ。大学生の意識を探るためのアンケート用紙に二者択一の性別欄を設けた。協力を依頼した大学の教員から性的少数者(LGBT)への配慮が足りないと忠告され、不明を恥じた。

 性別欄を廃止したり、任意回答にしたりする取り組みが広がる。本年度の鹿児島県公立高校入試では、性別欄のない願書が初めて使われた。苦しめられてきた人たちへの理解が深まるきっかけになったはずだ。

 「セーラー服を着ると、苦しくてたまらなかった」。鹿児島市の西紫原中3年救仁郷(くにごう)奏(かなで)さんには、制服が心の重しだった。詰め襟で卒業式に臨み、穏やかな笑顔を本紙が伝えた。

 性別で人を区別し、“らしく”振る舞うべきという考えは社会に根深い。自分の性別をどう認識したらいいか分からない救仁郷さんは、“女らしさ”を求められる苦悩を誰にも言えず不登校になった時期もあったそうだ。

 勇気を持って仲のいい同級生に打ち明けられるようになったが、詰め襟着用には高い壁もあった。学校は学年ごとに説明会を開かなければならなかった。「女の子なんだから周りが驚くよ」という声も聞こえてきた。

 “心の姿”で旅立ちの日を迎えられたのは、多様性を認め合う社会への一歩に違いない。制服のスカートかスラックスを選べる学校はまだまだ少ない。「変わっていく必要性がある」。校長の言葉に希望の光を見た。