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 自営業者の子どもは、働く父親を生き生き描くそうだ。一方、サラリーマンの子どもの絵は、決まって窓を背景に机の上に電話と湯飲みが置いてある構図という(深谷昌志著「父親-100の生き方」)。

 父親の会社に行ったことがなく、どんな仕事をしているのか知らなければ無理もない。それだけに第一生命保険が昨年12月、小中高校生約3000人に聞いた「大人になったらなりたいもの」の調査結果は意外だった。

 小学生の女子で「パティシエ」が1位になった以外は「会社員」がトップだった。会社員の人気が高かったのは1990年前後のバブル期以来らしい。当時は羽振りの良さが目を引いたのだろうか。

 今回の結果について同社は「コロナ禍で在宅勤務が広がり、親の働く姿を身近に見るようになったからではないか」と分析する。会社勤めの母親も増え、会社や仕事の話をしながら食卓を囲む家族の様子が浮かぶ。

 同社が先日発表したサラリーマン川柳にも<テレワーク いつもと違う 父を知る>とあった。休日にくつろぐ格好とは異なる一面に気付いたのだろう。親の背中が子どもに教えることは少なくない。

 家庭に仕事を持ち込むのはご法度だった時代もある。在宅勤務は息が詰まると敬遠する向きがあるのも確かだ。しかし働き方を変える契機になれば、会社員の子どもたちも親の姿を生き生きと描くに違いない。