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 役所に出す書類で耳慣れない用語に戸惑うことがある。例えば固定資産の評価額などを記した「公課証明書」や土地の「地積・地目」などは、その度に窓口で意味を聞き、時間もいたずらに過ぎる。

 「補償運転」は福岡での運転免許更新の講習で初めて知った。意味を問う講師にほとんどの受講者が保険用語と勘違いしていた。平たく言えば「年を取るとともに低下する技術を補う運転」である。

 高齢ドライバーの安全運転対策として警察庁が推進している。体調や天候を踏まえ無理な運転は控えようという呼び掛けである。大切な心構えだが、こうも堅いお役所言葉では普及しづらい。

 その点、鹿児島県警の「ちゃいっぺ(茶一杯)心で運転」は分かりやすい。「調子を確認」「夜の運転は控えて」「今出掛ける必要があるか」「常日ごろ通り慣れた道を」「ペースを守って」の頭文字を取った。

 県内では昨年、65歳以上の人が過失の最も重い当事者となった交通事故が千件以上起きた。ハンドルやブレーキの操作ミスが多い。視力や判断力の衰えは避けられない。運転技術への過信は禁物である。

 「ちゃいっぺ」はもてなしを示す鹿児島弁として親しまれており、この言葉だけで、落ち着くことの大切さを教えてくれる。年度末の慌ただしい時期を迎えても、急がず、慌てず「まずはお茶を一杯」の余裕を持ってハンドルを握りたい。