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 「血は/たえず/流されている」。ごくりと唾を飲むような書き出しの「流血」。鹿児島市出身の詩人、黒田三郎の作品だ。「ただ/自分の目で/それを/じかに見ない/というだけのことだ」と、続く。

 世界で、いやほんのすぐそこで血が流されているのに、人ごとのように過ぎゆく「僕らの日々」を皮肉る。だがこのところのミャンマー情勢は、さすがにのんきに見ていることができない。

 国軍がクーデターを起こして2カ月。市民への弾圧は激しさを増す。死者は幼児を含め、既に500人を超えたという。抗議運動に呼応して少数民族武装勢力が立ち上がり、複雑な内戦の様相になってきた。

 まさに「わがこと」と心配するのは、霧島市の建築鉄骨加工「HIMEGI」の紙屋賢司社長だ。ミャンマー出身エンジニア7人を雇う。面接で自身何度も現地を訪れた。「教育のレベルが高く優秀な人材が多い。仏教国なので日本人との親和性も高い」と話す。

 母国に帰っても設計作業を任せたいと支店開設の準備中だったが、新型コロナ禍で中断していた。そんな矢先のクーデターに、衝撃を受ける。「本人たちは不安でたまらないはずだが『仕事は仕事』と絶対に手を抜かない。頭が下がります」。

 紙屋さんの元には国際社会に訴えて、とのメッセージが現地から届く。流されている血。私たちも自分の目で見るように見なければ。