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 35年前、大学入学のため鹿児島から上京した。線路の脇に雪が厚く残っていたのを鮮明に覚えている。だが、入学式の記憶はとんとなく、学長らの励ましの言葉も耳に残っていない。

 寒々とした風景だけが焼き付いているのは、周囲に知り合いがいない不安でいっぱいだったからに違いない。今年の新入生は、憧れの学生生活のスタートとなる入学式をどんな気持ちで迎えるのだろうか。

 新型コロナ禍は2年目に入った。多くの大学が密を避けようと数回に分けて開いたり、家族の出席を断ったりと、従来とは趣を異にする。昨年中止した新2年生の入学式を開く大学も少なくない。

 先日、都心の大学近くで式を済ませた2年生の一団を見掛けた。オンライン授業続きでキャンパスに通えなかった学年である。晴れて大学生になれた実感が湧いたことだろう。桜の花びらが舞う中、記念撮影する様子に目を細めた。

 とはいえ「第4波」の懸念が高まるさなかの新年度である。対面授業がオンラインに逆戻りしないことを願いたいが、さまざまな変化に柔軟に適応するすべを身に付けるのも将来の糧になる。

 鹿児島大学の入学式は7日、大幅に規模を縮小して行われ、大半はオンライン参加という。式は長い人生の一こまにすぎない。時に困難を伴う4年間を乗り切った先に、「おかげでたくましくなれた」と胸を張って振り返る日が来る。