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 赤は日本神話に出てくる天下の主、天照大神(あまてらすおおみかみ)を表す色とされる。古代エジプトでは太陽神ラーを、マヤ文明では王の権威を象徴するそうだ。古来、人は赤に特別な力を感じてきたのだろう。

 夕闇に赤く浮かび上がる「太陽の塔」の写真が先日の本紙に掲載された。新型コロナウイルスの重症者急増を受けた大阪府の医療非常事態宣言を知らせるライトアップだという。多くの府民が、ただならぬ事態を察したに違いない。

 政府はその大阪と兵庫、宮城の3府県に適用していたまん延防止等重点措置を東京、京都、沖縄の3都府県にも拡大する。緊急事態宣言に準じた感染対策が集中的に実施される。

 だが、政府の動きはどうも腰が重そうに見えた。東京五輪に向けた盛り上がりに水を差したくない思惑が判断を鈍らせてはいないか。そう勘繰りたくなるのは辛抱する暮らしが1年以上も続き、いら立ちが募っているからだろうか。

 確かなのはウイルスは相変わらずしぶとく、地道な自衛策で身を守るしかないということだ。首都圏の緊急事態宣言が解除された先月下旬以降、鹿児島県でも感染者がじりじりと増えている現実を甘く見ない方がいい。

 経済活動を段階的に再開させても、感染の波が押し寄せる気配が見えたら警戒態勢を強化する-。しばらくはこの繰り返しが続く。気が緩まないよう、赤い太陽の塔を目に焼き付けておこう。